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揺れる

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人 物

遠藤大樹(19)長男。

遠藤一樹(18)大輝の弟。

遠藤友和(52)大輝、一樹の父。

おじさん


〇JR秋田駅・中・夜

バックパッカーのような大荷物を持った遠藤大輝(19)が、JR秋田駅で新幹線の切符を改札にいれて待合室まで歩いて行く。

 

〇漁船・中・夜

船、揺れている。遠藤一樹(18)、魚の網を引き上げている遠藤友和(52)に向かって叫ぶ。
一樹「なんで大輝だけ東京行くんだよ!」
友和、乱暴に網をおろし、魚たちを無言で仕分けしていく。
友和「さっさと手伝え」
一樹「だからオレだって東京……!」
友和、一樹の胸ぐらを掴んで。
友和「あいつはお前とは違うんだ」
一樹「なにが違うんだよ!?」
友和「あいつはここでおさまるようなタマじゃねえってことだよ!! 顔見たらわかんだろが!」
一樹、その答えを聞いて、呆然として。

 

〇JR秋田駅・待合室・中

こまち48号がホームに入ってくる。扉が開いたので、大輝が待合室を出て、新幹線内に入っていく。

 

〇JR秋田駅・新幹線・中

夜の新幹線。最終なので、ガラガラである。大輝が荷物を上の棚に入れていると、前の席に座っている酔っ払ったおじさんが声をかけてくる。

おじさん「兄ちゃんは東京行くんか?」
大輝「……はい」
おじさん「なにしに?」
大輝「俳優になるんです、ぼく」
大輝、おじさんに微笑む。

 

〇漁船・トイレ・夜

一樹、船の狭いトイレで自分の顔を見て、顔を歪ませる。そこに友和がやってくる。魚の入ったバケツを一樹に渡しながら。
友和「一樹、仕分けの続き、やれ」
一樹「……」
友和「なにをやってんだ。とっとと、出ろ。鏡なんて見たってしょうがないだろうが。今更。お前と大輝は違うんだ。この時間からが漁の本番ってこと、お前だってわかってるだろ?」
一樹「……親父」
一樹、泣いている。
友和「なんだよ。お前も子供じゃないんだから。グダグダ言うな。いい加減本気で手伝ってくれよ。時間が迫ってきてんだ」
一樹「前さあ、大輝の母親、オレと違うって言ってたよな?」