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わたし、500円。

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人 物

森川佳歩(22)新入社員

久保田恭平(35)会社の上司

久保田美紀(32)恭平の妻

子供(5)恭平と美紀の子供

土屋涼太(22)佳歩の同期

佐藤奏(22)佳歩の同期

おじさん(56)


〇居酒屋・店内(夜)

土屋涼太(22)、佐藤奏(22)をメインに、森川佳歩(22)と同期たちがわらわらとうるさい居酒屋で打ち上げをしている。
土屋「それじゃ、お疲れ様でしたー!」
同期たち「お疲れ様でしたー!」
土屋「ほとんど森川の頑張りによりオレらのチームが見事に優勝しました! 森川に乾杯!!」
佳歩は、黒いスーツの新卒姿で長く黒い髪、華奢な体型をしている。まだ世間になれていない感じがただもれている。陰キャ感がすごい。
佳歩「わたしは何も……」
佐藤奏(22)が、カジュアルなオフィス服で楽しげにしている。誰が見ても美人。
奏「森川ちゃんいなきゃ、うちら、なにも進捗とかなかったよ」
佳歩「いやいや……わたしはほんとExcelいじってただけで」
奏「そういう裏方仕事が一番大事なの! もっかい森川ちゃんにカンパーイ!」
同期たちがもう一度乾杯。奏、少し酔ってきている。男性陣、奏に視線が釘付けだが、土屋だけは佳歩の方を見ている。
奏「ねえ、将来的に森川ちゃんはさあ」
佳歩「はい」
奏「手に職っていうかさ。エンジニア? マーケター? どの道に行きたいのかなって。うちの会社そういうの自由に選べるじゃない」
佳歩「わたしはそこまでは考えてないですけど……」
奏「いやあ森川ちゃんって絶対出世すると思うけどなあ」

 

〇同・店内(深夜)

居酒屋で潰れている奏。男性陣がそれをかばって、奏がオタサーの姫みたいになっている。
土屋「じゃあ、お前ら。奏、頼んだぞ」
佳歩、淡々と焼酎を飲んでいる。
土屋「……お前、下戸なの?」
佳歩「……多分」
そうやって土屋を見上げた佳歩の髪を、土屋がキレイに分けて、耳にかけてやる。そして佳歩の眼鏡を外し、キスをする。
佳歩「ちょっと!」
佳歩、口を急いで拭う。
土屋「お前、普通に可愛いじゃん」
土屋、今度は、佳歩にディープキスをする。
佳歩「……うっ、はぁ……」
土屋「お前には刺激、強すぎたかもな。今の」
土屋、そういって少し笑う。そして、佳歩に手を伸ばして言う。
土屋「送っていってやる」
ついていく佳歩。

 

〇居酒屋近くの路地

土屋「……ごめん」
佳歩「え?」
土屋「ちょっと我慢できないわ」
土屋、無理矢理に電柱に佳歩を押しつけ、パンツを下にずらし、無理矢理挿入する。
佳歩「待って! コンドームつけて!」
土屋「ねえよそんなん!!」
土屋、汗ダラダラ。ガンガン腰を振って、中ではてる。佳歩、崩れ落ちる。
佳歩「いま、中で出したでしょ? え? どうすんの……?」
土屋「ごめん、森川、マジでごめん……!」
土屋、服をやっと着ながら佳歩を恐れるようにして、後ずさっていく。
佳歩「ちょっと待ってってば……!」

 

〇会社の廊下

久保田恭平(35)が、会社の資料を持った佳歩に声をかける。
久保田「お疲れ。森川。お前、変な噂、流れてるぞ」
佳歩「お疲れ様です部長。あの……変な噂って……」
奏が通りすぎて、佳歩に手を振る。佳歩も慌てて、手を振り返す。
佳歩「もうすぐミーティングなのでこの話はまた今度で」
久保田、佳歩の手を離さない。
久保田「いや、もう少しで終わるから待て。要するに、お前が500円で体売ってるってこと。同期とか上司とかに」
佳歩「……それは」
久保田「その反応、マジなんだな。ったく、会社の雰囲気悪くしてんじゃねえよ。っていう俺もその波に乗りたいからお前に声かけたんだけど。まあ俺も最悪ってこと」
佳歩「……?」
久保田「俺は、お前に、1万出す」
佳歩「1万……!? そんな、いいです。こういうの、相場わからないので、500円にしてるだけで」
久保田「今、嫁と別居してて、離婚調停中だから、うちに来ていいぜ。誰もいない、寂しい部屋さ」

 

〇久保田の家・中・(夜)

佳歩、あまりに広い久保田の部屋に愕然とする。
久保田「広いだろ。なんなら嫁の代わりにお前が次に住むか?」
佳歩、少し照れて。
久保田「ほら、今日の夜のお楽しみの金」
久保田、佳歩に1万円を渡す。封筒の中に新札が入っている。
佳歩「ありがとうございます……」
久保田「シャワー、一緒に浴びようぜ」
佳歩「一緒に……。そんなこと、誰も今までしてくれなかった」

 

〇同・ベッド・(夜)

少し濡れた体でひっつきあう久保田と佳歩。
佳歩「こんなに癒やされてるの、初めて」
久保田「っていうか、なんで500円なんかで体売るんだ? お前、普通にキレイだよ。自分の価値をもっと知ったほうがいい」
佳歩「キレイ……」
久保田「ああ、キレイだ」
佳歩「500円っていうのは、ワンコインですよね?」
久保田、煙草をふかしながらビールを飲む。
久保田「ああ。そうだな」
佳歩「わたし、500円ってちょうどいいと思うんです。男性の精液を受け止める値段。ちょっと喉渇いたなってときに前にあるコンビニ、みたいな。水飲めばいいじゃんって思うかもしれないですけど、どうせなら美味しいジュースが飲みたい。そこで、ちょっとドリンクが高かろうと、飲みますよね」
久保田「そうだけど……でも500円は安いと思う。俺はな」
そういって、久保田、佳歩の乳房に吸い付く。
佳歩「あ、あ……」
久保田、どんどん激しくなっていき、挿入する。バックで挿れている。久保田、佳歩の尻を叩く。
久保田「こうすればもっと気持ちいいだろ?」
鍵ががちゃりと開く音がする。気づかない二人。久保田美紀(32)と子供(5)が帰ってくる。美紀、子供を寝室に行くように背中を叩く。
美紀「あなた。今度はなに? 若い子狩り? 趣味悪」
久保田「いや……違うんだ。お前たちが旅行中でさ。暇でデリヘル呼んだだけ。さ、キミ、帰っていいよ。てか帰れ!!」
久保田の恐ろしい形相に怯え、ほとんど半裸の状態で家を逃げるように出ていく佳歩。

 

〇大久保通り(深夜)

整形ギャルたちがおじさんと楽しそうに話し、ホテルの方向へ向かう。ぐしゃぐしゃに泣きながら、佳歩も一番端に立つ。おじさん(56)が佳歩に声をかける。
おじさん「キミ、いくら?」
佳歩「……わたし、500円です」